急性大好き症候群
『……だからね、唯織、早く別れた方がいいよ、あんな奴』

「まあ、わかってるんだけどね……」

『このままじゃあいつの思うツボよ』

「うん」

『私はわかんない。なんでそんなんで付き合ってられるの?』

「別にいいもん。あたしが勝手に裕也を好きなだけだし。付き合えただけで十分だから……だから浮気されたっていいかなって……」

『唯織ってほんとアホだね。……あ、親が帰ってきた。じゃあね、また明日』

「うん、美紗、また明日」


あたしは携帯を閉じた。


再びため息。


浮気されていいはず……ない。


でも、あたしがなんだかんだ言えることじゃない。


あたしも悪いんだから…………


「よう姉ちゃん、彼氏が浮気してるって?」


はっとして振り向くと、図体のでかい男が三、四人、あたしの後ろに立っていた。


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