純悪女!?~ドSなアイツの結婚計画~

「お疲れ様でした。また忙しくなると思いますので、気を緩めないようにお客様に接してください。ここに決めて良かったといっていただけるように」


一通り片付けが終わった時、桐生さんがスタッフを集めてそう言う。

“ここに決めて良かった”

そう言っていただけるのが、この仕事の醍醐味だ。

とはいえ、いつもの倍以上は疲れを感じる。
いつもなら、顧客ファイルを整理したりしてから帰るけれど、もうその元気すらなかった。



「安永さん、すごく綺麗でしたね」


優奈ちゃんが私を肘でツンツンしながら、ニコニコとそう言う。


「いや、優奈ちゃんがやれば良かったのに。私よりきっと似合うわよ」

「えーでも、いざとなったらあそこまでちゃんとできるか……言うのは簡単なんですけどね。でも、桐生さんが新郎だったなんて、何かうらやましいです」



そうか。桐生さんはあれでも、スタッフの間では人気があるんだ。

仕事に対してはストイックな姿勢で臨む人だけど、そのほかの物腰は柔らかい。

私以外には――。




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