純悪女!?~ドSなアイツの結婚計画~
その日の朝礼に、桐生さんはいなかった。
遅番? と思ったけれど、支配人の一言で、私は凍りついた。
「桐生君だけど、次に行くところのオープンが早まったようで、もうこちらには出社しません。
こちらとしては大変な痛手ですが、他の皆で盛り立てていってほしいと思います。
引き継ぎは、安永さんに頼めばわかるという事でしたが、大丈夫ですか?」
「えっ? ――はい」
彼はいつでも全員が情報を共有できるように、すべてを記したファイルを持っていた。
だから、突然こういう事があっても、残された人達は何一つ困ることがない。
だけど、実際彼と同じだけの仕事ができるかというのはまた別の話で。
「でも、桐生さんの様にはいきません」
「だけど、安永さんならできると聞いているが」
とにかくやってみよう。
桐生さんが私に任せてくれたというなら、やらなければ。
そんな風に思っていた。