花の名前
賢といつものメンバー。
お約束のカラオケ大会。
喧騒の中、勢いよくドアを開けて
入ってきた。

細い身体に神経質そうなメガネ。
周囲を一瞥してから
賢の隣に座った。

「腹減った。」

一言言ってタバコに火を着けた。

「愛想悪くてごめんね。
さっき言った青年実業家のノブ。
同級生。」

「はじめまして。華です。」

お決まりの挨拶をしながら
ノブを観察する。

カルティエの時計
ドルガバのベルト
ベルルッティの靴

嫌味のない着こなし。

アパレル時代からの癖で
着こなしをチェックする。

特に女に興味はなさそう
どうやって客にしようかな?

そんな考えが頭をよぎる。
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