絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅲ
 曲が終わるなり、携帯電話をすぐさましまう。
「確認するまでもないな」
 無表情の巽の意見は、多分正しい。
「好きって言われて、好きにはなれないって言うと、待ってるって言われるの。それで…いつもそのまま……。知らないふり……気づかないふりをしてるの」
「一度拒まれたのに、思い続けるようなぬるい感情なら、断ち切ってやった方がいい」
「ぬるいの?」
「少なくとも、受けいけられなかったことを知った時点でそれなりに気持ちの変化はあるだろう」
「……そっか」
 納得の一言。
 そこで一旦会話が途切れたので、頭を少し横にずらした。
 巽の肩に頭が乗ったにも関わらず、反応は特にない。が、それはいつも通りのこと。
 彼の肩に、頭をもたせかけることが、今の自分の中の不安やらなにやらを全部吹き飛ばしてくれる……、そんな気がしていた。
 その肉体に触れているだけで、すべてが消える。
その時は、そんな気がしていたのだ。
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