絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅲ
 ただ、ベッドで何もなく、2人きりで眠ることをずっと望んでいた香月にとって、最高にうれしい言葉であるはずなのに、大粒の涙があふれて仕方なかった。
 何故か西野を思い出した。小さな子供を引き取ったはいいが、妻とうまくいかなくて助けを求めている友人。
 彼もきっとうまくはいかない。何故かそう思った。
 2人はそのままシャワーも浴びず、ただ白いシーツの中へ服を着たままもぐり、巽のいいように抱きかかえられ、目を閉じた。
 そして目を開いて思う。そうだ、ロンドンへ行こう。

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