絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅲ
「ないことはないが、一、二回あったか……」
「あそう……普段何食べてるの? いっつもあんな高級な所で食べてるの?」
「それが普通だ」
本当にぃ? と聞こうとしてやめた。それが普通に見えて仕方ない。
「じゃああー、パフェ。ハンバーグ、これ」
「内線でかかる」
「内線電話?」
「最初に108か、そこに書いてるだろ」
指示された、パンフレットの一番裏を見ると、注文の仕方が書いてある。
「え、私が注文するの? あなたは何食べるんですか?」
「俺は……」
巽はパラパラと捲って思案したが、仕方なさそうに、
「これでいい」
と、一番高い懐石セットにした。
「これね……一つでいいよね」
巽はそれには答えない。せめて何か言えよ!
「じゃあ頼むね」
って、他人に電話させるなー! 私お客さんなんだからね……。
15分して、2人は、テーブルの上にそれぞれの好みの品を並べると、ようやく食事を取り始めた。
「ハンバーグ久しぶり―、おいしー」
「……お前は食事の仕方を知らんのか……」
「え、何?」
ハンバーグ一口食べて、パフェ食べたところですけど。
「パフェはデザートだろ?」
「え、それが?」
「何故肉と一緒に食う?」
「……え……食べたいから?」
「……」
巽は深く溜息をつき、食事を続けた。
「いや、いつもパフェとハンバーグを一緒に食べるかって言ったらそうでもないよ? だっていつもはパフェなんてないし、だいたい後から来るよね」
「……」
「いーじゃん別に。パフェ作ってる人は、おおー、僕が作ったパフェを溶ける前に食べてくれるなんて、感激だーって思ってるかもしれないよ?」
「下らん」
巽はこちらを見ようともせず、もくもくと食べ続けている。その姿をよく見ると、ちゃんとマナーがなっているような気がして仕方ない。茶碗の持ち方に始まり、箸の置き方、食べる順番……。
「……」
香月は黙って食事を始めた。もちろん、食べているのは、ハンバーグだけ。確かに、これをパフェと食べたから美味しいというわけではないが……。
「講師を一人つけてやる」
「あそう……普段何食べてるの? いっつもあんな高級な所で食べてるの?」
「それが普通だ」
本当にぃ? と聞こうとしてやめた。それが普通に見えて仕方ない。
「じゃああー、パフェ。ハンバーグ、これ」
「内線でかかる」
「内線電話?」
「最初に108か、そこに書いてるだろ」
指示された、パンフレットの一番裏を見ると、注文の仕方が書いてある。
「え、私が注文するの? あなたは何食べるんですか?」
「俺は……」
巽はパラパラと捲って思案したが、仕方なさそうに、
「これでいい」
と、一番高い懐石セットにした。
「これね……一つでいいよね」
巽はそれには答えない。せめて何か言えよ!
「じゃあ頼むね」
って、他人に電話させるなー! 私お客さんなんだからね……。
15分して、2人は、テーブルの上にそれぞれの好みの品を並べると、ようやく食事を取り始めた。
「ハンバーグ久しぶり―、おいしー」
「……お前は食事の仕方を知らんのか……」
「え、何?」
ハンバーグ一口食べて、パフェ食べたところですけど。
「パフェはデザートだろ?」
「え、それが?」
「何故肉と一緒に食う?」
「……え……食べたいから?」
「……」
巽は深く溜息をつき、食事を続けた。
「いや、いつもパフェとハンバーグを一緒に食べるかって言ったらそうでもないよ? だっていつもはパフェなんてないし、だいたい後から来るよね」
「……」
「いーじゃん別に。パフェ作ってる人は、おおー、僕が作ったパフェを溶ける前に食べてくれるなんて、感激だーって思ってるかもしれないよ?」
「下らん」
巽はこちらを見ようともせず、もくもくと食べ続けている。その姿をよく見ると、ちゃんとマナーがなっているような気がして仕方ない。茶碗の持ち方に始まり、箸の置き方、食べる順番……。
「……」
香月は黙って食事を始めた。もちろん、食べているのは、ハンバーグだけ。確かに、これをパフェと食べたから美味しいというわけではないが……。
「講師を一人つけてやる」