僕らのシナリオ

1年目:遊園地












『きたー!!!!!!』



視界開けた途端、色彩と様々な騒音が僕らを襲った。


遊園地の入園口を通ってすぐ、宮田さんと中野は同時に叫び、はしゃぎまわっている。



「ちょ、恥ずかしいからやめて。」

「そ、そうだよー。」


僕と飯島さんはそう言って2人を止めた。



球技大会の打ち合げという名目で今日4人は遊園地に来ていた。

中野の私服は何度も見てきたが、いつも学校でしか会わない宮田さんと飯島さんの私服は新鮮で驚いた。


だけど。

ショートパンツとかわいらしい白いシャツとリュックの宮田さん。

同じくショートパンツだが、レギンスをはいて薄いピンクのゆったりしたブラウスを着た飯島さん。

2人とも2人の雰囲気にぴったりで、集合場所に来た2人は遠くからでもわかった。




「どうする?まず何乗るよ?」

「やっぱりドラゴンテールからでしょ!」

「いやいや始めに乗っちゃうと後がつまんないパターンだぜ?」

「あー!それはやだあ〜。」


テンションがおさまりきらない様子で盛り上がる中野と宮田さんを放って、僕は飯島さんに話しかける。



「飯島さんは絶叫系乗れる?」

「あ、うん。
でもあんまり激しいとやっぱり……」

「わかってる。
言わなくて大丈夫だよ。」

「……ありがと。」



そこで中野が僕らの目の前まですごい早さで近寄ってきて、えらそうに腕を組む。



「おい!飯島は絶叫乗れるか?」

「呼び捨てかよ………」

「へ?!あ、うん。いちお。」


僕のツッコミを無視して中野は続ける。


「じゃあ問題ねぇな!
まずは軽いコースターから制覇しようぜ!」

「はいはい。任せるよ。」


そう言うと中野は満足そうにうなずいて、慣れた足取りで進んでいく。



「なっちゃん、行こ!」

「うん!」


宮田さんと飯島さんも仲良さげに歩いていて。



僕は久しぶりの遊園地に少し不安になりながらも、楽しみで仕方なかった。






< 48 / 131 >

この作品をシェア

pagetop