あの夏の君へ





マフラーを首に巻いて。

完全防備。

教室からグラウンドを眺め続ける。

「どれが荻か分からへんわ」

なんて言いながら、一人で笑った。

私、おかしいなぁ。

何でか涙が零れた。

可哀想なくらい君が好き。

やっとどんなに好きなんかが分かった。

失って初めて気づくって、こういう気持ちやねんな。

やっと分かったわ。

やっと気づけたわ。


お願いやから……もう私に罰を与えるのは止めてや。


好きで…好きで…苦しいねん。






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