あの夏の君へ





荻たち、三年生にとって、これが最後の夏になる。

大事な甲子園の切符を賭けた戦い。


応援したい。

けれど寂しい思いがこみ上げてきた。

荻は大変なんやから。

私は耐えなきゃ。

堪えなきゃ…堪えなきゃ…。

眠れない日が増えた。

それでも自分に言い聞かせ、何度も荻に電話を掛けそうになって、諦めるを繰り返した。


それでも自分に負けて、一度だけ荻に電話を掛けたことがあった。





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