あの夏の君へ
長谷部くんに背中を支えてもらいながら知らない車に乗った。
皆が黒い喪服と呼ばれる服をまとっている。
何で…人が死んだときって服は黒と決まってるん?
何で?
何で??
虚ろな目で訳も分からず、遠いところを見上げた。
なんて言って会えば良いんやろう。
“久しぶり”って言えば、荻なんて言ってくれるかな。
「亜樹氏…飯、食ってる?」
「えー…さぁ…」
力が入らない。
怖くて、怖くて、隣に座る長谷部くんの服の袖を力の加減も分からないまま、無我夢中で掴んだ。