あの夏の君へ





「亜樹ちゃん!!おはよ♪」

休み時間になる度に新井田は私たちの教室に現れた。

荻と話して、盛り上がってる時でも何気ない顔で現れては当たり前のように私の肩に手を回した。

「おっはっよっ♪」

「キモいねん」

嫌がっても嫌がっても、へらへら現れる。

七転び八起き。



バカみたいに挑戦してくる。



自分に自信ありすぎるやろ?



「亜樹ちゃん」

「何」

「俺、本気やからな」

毎度飽きず、教室を出ていく際の捨て台詞。

だけど、目は私を見ていない。

目は荻を見てる。


私は気づかないフリ。

気づかないフリは私の得意技。





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