紅梅サドン
「調子乗りやがって。お前いつか捕まるな。

いや、むしろお前みたいな最悪のペテン師は捕まってくれ。

ーーじゃあ何で俺はそんな厳しい次郎に選ばれたんだよ。

俺のどこが気に入ったんだ?

ーーしかも俺は女でもねえのに。」

ルノーは立ち上がると、冷蔵庫から再びキンキンに冷えたビールを持ち出した。

そして何故か僕のすぐ隣に座り、僕の肩を気持ち悪い手つきでゆっくり撫でた。

「秋ジイーー、残念ねえ。

とっても言いづらいんだけどねえ。

次郎は秋ジイを気に入ったんじゃなくてさあ。



ーーー雪子。

どうやら次郎は、雪子がいいみたい。」



ーーあ、雪子ね。


微妙にショックな風が僕の前に吹き荒れる。

ルノーが肩に置いた気色の悪い手を振り払う事が出来ない僕がいた。



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