紅梅サドン
「インチキ占い師マスリカを装った村田婆さんといい、お前ら嘘つき兄弟といいイカサマ師ばっかりだな。」

「俺と次郎で、秋ジイ達についた同じ嘘を、今まで四人の女に試したけどね。

ここまで話したのは秋ジイが初めてだよお。

嘘無しよ、もう。」

「あ?お前その女性達はどうしたんだよ?。詐欺行為に当たるぞ下手すりゃ。」

「今頃、相当キレてるかもねえ。

俺、『結婚しようか』なんて匂わせたまま、ある日荷物まとめて突然消えたからなあ。

あ、でも金とかは騙し取ったりしてないよ。あくまでも結婚が目的だから。

次郎はさ、秋ジイ達にしたのと同じ手口で家に上がり込んで、その女達四人全員に直接会った訳だけど。

次郎がね、その女達をどうしても気に入らなくてさあーー。

俺、嘘ついてる手前、今更本当の事言えないしね。

全員黙って出てきちゃった。

中には本気で俺と結婚する気になってた女もいたよ。

怒ってるだろうなあ。」



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