紅梅サドン
次郎はあの一件以来従順で素直な子供に変わったーーーー。


訳も無かった。


相変わらず雪子が居なくなると、僕に生意気な口を聞くし、何かと云うとすぐに中指を僕に向かって立てる。

アインシュタイン博士の様にペロリと舌を出して、僕に挑発的な姿勢も変わらない。

次郎の僕への失礼な態度を変えたくて、或いは格好良い所を見せつけたくて、少年達を恫喝した訳では、正直無かった。

あの一件は、単に無神経な三人のクソガキ達に『僕自身』がムカついた。

ただ、それだけの話だ。


しかし、一つだけ変わった事と言えばーーー。



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