朱い櫻の輪舞
タイトル未編集
小さい頃からなぜか桜が怖かった。
みんなが桜を見て喜んでいたのに、私はとても哀しかった。
その理由はわからない。

胸を締め付ける思いは年を経るごとに苦しくなった。
なにかが足りない。
心の中にあいたスペース。
埋めるピースは家族でも友人でもない。




今年もまた桜の季節がやってきた。
私は憂鬱な気持ちで、膨らむ蕾を眺めていた。


でも、今年はいつもと何かが違う。
そんな予感がした。


春の風を受けながら、私は心の奥底のざわめきを感じた。



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