白球を追いかけて


近くの公園のベンチに座った。



監督と話すのは一年ぶりだ。



公園ではキャッチボールをしている子どもたちがいた。



しばらくの沈黙。



俺は一番聞きたかったことを聞いた。



「…なんで辞めたんすか?」


監督は驚いたような顔をした。


「優先順位を間違えたんだ。過去と現在のな。過去に犯した過ちを引きずっていた。」


寂しい目、少し痩せた?


白髪混じりの髪の毛。


シワもなんだか増えたようだ。


「悪いことをしたよ。今更だけどすまなかった。」


「俺じゃないっす。それは先輩に言うべきじゃないですか?」


監督の目を見る。



監督が涙を流した。
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