アイ・ラブ・おデブ【完結】
コーヒーの香りに誘われ由美子も眠たそうにテーブルにつき、三人で朝食となった

「ねえ…
慎ちゃんの携番知ってる?
ターゲットを見つけたら連絡するんだから…
聞いときなよ」

ふざけた言い方ばかりをするがいつだって、姉のような頼れる存在でいてくれる

あの時だって一緒にいてくれたからこそ、勇気を出して大物政治家と対決できた

由美子の言うように知り合いもトニーしかいない言葉の通じぬ国では、慎太郎が頼りになることは間違いない

互いの連絡先を確認してそれぞれの持ち場へと向かった

路線図を何度も見ながら地下鉄を乗り換え着いた先には、あの高級集合住宅がそびえ立っていた

…あ~ぁ…ここに来ると落ち込んじゃう…
"逆"パワースポットなんじゃない?
まだ中にいるといいんだけどな…

丁度、入り口が見える道路の向かい側に路線バスの停留所があった
屋根とベンチがあり、張り込みをするにはありがたい

カフェでもあれば最高なのだが…そんな贅沢も言ってられない

電柱の影に隠れるよりはましな状況だ
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