アイ・ラブ・おデブ【完結】
温室も明かりが灯り、中の様子がはっきりと分かるようになった

遥のいる場所から見える位置に二人が現れ、心臓の音が耳のすぐ側で鳴り始めた

もちろん話し声などは聞こえないが、笑いがこぼれて楽しげな様子が伝わってきた

慎太郎が小夜の髪に触れ、視線が絡み合い何か囁いている

その様子を見ていた遥は飛び出していき、硝子を蹴破ってしまいそうになった

…やめろ!!さあやに触れるな!
僕のさあやに…触れるな!
お願いだ…さあや…そんな瞳で僕以外の男を見ないでくれ…
僕だけを見てくれ…

勝手な言い草だが、遥の素直な気持ちが溢れ出した

一度堰を切った想いは止めることは出来ず、肩を上下させる程に呼吸が荒くなる

視線を慎太郎に向けたまま小夜は驚いた表情で言葉を紡いだ

…まさか…まさかプロポーズなのか?

遥の想像の中の会話では慎太郎のプロポーズに驚いているという風になっていた

今度こそ、小夜が返事をする前に飛び込もうと腰を浮かせた時、温室の入り口に近づく女性が見えた

…っ!!あの女…
確か、さあやのアパートの階段を降りてきた女だ!
って…アイツが犯人か?
さあやの部屋を調べていたんだな…
くそっ…さあやを襲わせて堪るか!

ここにいる本来の目的を思い出し、今にも扉を開けようとしている女の元に駆け寄った
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