ヴァムピーラ

「へぇ?」
「返してっ・・・!」

 駄目!

「返して欲しかったら、頼み方があるだろ?」

 駄目だから!お願い・・・っ

「あ・・・っ」

 胸が、苦しい。嫌、駄目・・・っ!

 そんな私の思いも虚しく、それは始まってしまった。
 胸が苦しくなり、呼吸もままならなくなる。

「ひっ・・・」
「おい?」

 その場に蹲りながら、自分ではどうにもならない脱力感に身を任せる。
 驚いたリキがすぐに私に駆け寄った。

「どうした?」

 私は悔しくて、こんなときにも首を横に振る。

「かえっ・・・して!」

 そう強情に叫ぶ私を、リキはあろうことか抱えあげた。

「っ?!」
「暴れんな」

 リキはそのまま近くのベンチに私を座らせると、

「大人しくしてろ」

 ウィッグを取り返そうとした私に、有無を言わせない声を出す。
 そして、綺麗に私の髪の毛をまとめると、ウィッグをかぶせてくれた。
 しばらくすると、私の呼吸も落ち着いてくる。と、リキが私の目じりに触れた。ひやっとした手の感覚にびくりと身体が震えた。涙を拭ってくれたようだ。
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