ヴァムピーラ

「花言葉は、優美だったけ」
「・・・よく、知ってるのね」

 リキは白い歯を見せて笑う。

「偶然だ」

 リキはそっと私の頭に触れた。

「まだこんなの被ってるんだな」

 ウィッグのことを言っているのだとはすぐにわかった。
 あの夜、初めて他人の前で、リキの前でウィッグをはずした私は、パニックを起こさなかった。
 だけど、今すぐにウィッグを外したとして、今回も同じようにパニックを起こさない自信はなかった。

「私は・・・普通じゃないから」
「お前、それが口癖なの?」
「え?」

 私の言葉に、リキは呆れたようにため息をついた。

「普通じゃない、普通じゃないって言ってるけどさ、カノンは何と比べてるの?」
「えっと・・・」

 私はいきなりのことで言葉が続かない。
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