大好きなアナタと、気になるアイツ【番外編更新中】
まあ、斉木に口止めをしたわけではないのだから仕方がない。

由香里は少し困った顔をして笑うしかなかった。

「……紗江子さんって言うんですね。」

「え、そこまで知っているの?」

由香里は試しに推測で彼女の名前を言ってみたのだが、驚いた鈴木の顔がそれが真実であると証明してくれた。

「昨日、偶然会っちゃいました。」

元彼の彼女だとは言わずに、ただ偶然友人と街で出会ってその時に知り合ったと話した。

「なにか言われなかった?彼女お嬢様だから自分の思い通りにならないのが我慢できないタイプなんだよ。」

「……睨まれました。」

彼女の冷たい目を今でも思い出すとゾッとする。

「彼女、まだ社長のこと好きなんじゃないんでしょうか。」

もう隠しても仕方がないので由香里は鈴木に聞いてみた。

「彼女の場合は好きとかじゃないと思うんだけど……あ、西園寺は由香里ちゃんしか見ていないから安心して。」

2人は丁度降りてきたエレベータに乗りこんだ。
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