大好きなアナタと、気になるアイツ【番外編更新中】
【木崎歯科医院】

駅前にある昔由香里がよくお世話になったトコロ。

あの、薬の臭い、キーンと響く音。

だいたい麻酔の注射が一番痛いっていうこと自体詐欺だと由香里は思う。

とにかく昔は甘い物とかを食べては歯をきれいに磨かない事がよくあって、その度にこの木崎歯科医院に通っていた。

年を重ねるにつれ、歯磨きをすることは当たり前だがいっそ甘い物は食べなければいいんじゃないか?と思うようになり、気が付いたら女の子のくせに甘い物は嫌いになっていた。

幼いころの経験が未来を作るというがその極端な例が由香里かもしれない。

「外観は随分立派になったな。」

由香里は病院を見上げてごくっと唾を飲み込んだ。

もう二度と来ないと心に誓ったハズなのに。

まさかあんな奴が原因で来ることになるとは…。

彼女は元彼の顔を思い出してちょっと泣きそうになった。

社会人になってすぐに付き合いだして結構長く付き合っていたし、そろそろ結婚
とかもあり得るかもしれないと考えていたなんて、今になっては滑稽な話だ。

いつか笑い話になると良いな……。

由香里はそんなことを考えながら今は自動ドアになった病院の入口へ足を踏み入れるのだった。
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