七つの椅子
「なにっ!?」
俺は入札金額を入力してエンターキーを連打するが、既にノートパソコンは動かない。
「いつまでも和華菜に付きまとってるからって……」
俺から奪い、和華菜を大切にしない奴が彼氏面するな!
俺を殺す動機が腹立たしい。
「ま、待ってくれっ!!」
俺は足に力を入れ、立ち上がると老爺に向かって叫んだ。
「どうかなさいましたか?」
老爺が振り返る。
寿や他の人達も俺を見る。
「俺はそのウィナーより多く金を出せる!!だから俺にその椅子を買わせてくれ!!」
オークションは終わってしまったのだから、そんな非常識な申し出が通用する訳が無い、と周囲がざわざわと騒ぎ始める。
俺だって分かっているが、エレナの力を使えば簡単なこと。
「エレナ、ここに居る全員が同意するようにしてくれ」
小声でエレナに指示を出す。