七つの椅子
私は全身の力が抜け、足が震えて立っているのがやっとだった。
「どうしてよ……竜治…私っ…ちゃんと貴方の事、好きなのに……」
涙が頬を伝う。
夢主である竜治は私と繋がっていても、無意識の内に私に和華菜を重ねていたんだ。
口ではいくらだって愛を囁ける。
愛が無くたって体を重ねる事はできる。
わかってた……。
あの日、清太の所で竜治は和華菜に愛してると叫んだ時から。
否、それ以上前から解っていて、その事実から目を背けていた。
愛されてるのは私じゃない。
愛されてるのは、清太に寄り添っている和華菜。
「俺が満足するまで付き合ってもらうからな」
意地悪な笑顔で私に言ったことを和華菜にも言っている。
私はこの先を経験した。
同じ事を和華菜とする所なんて見たくない。
私は目を閉じて、両耳を塞いだ。