シーソーが揺れてる
電話を切ると、その画面が点滅していることに春香は気がついた。どうやら良太と話している間に誰かから着信があったようだ。
「もっもしかして・・・!」
春香は慌てて履歴を見た。
「杉浦直人」やっぱりそうだ。
春香は大きく深呼吸をすると、その名前に緑色のボタンを押した。
しかし受話器の向こうからはなかなか声が聞こえてこない。
「まあいいか。後でまたかかってくる・・・」
と思いかけて電話を切ろうとした、その時だ。
「もしもし」
聞きたかった声が耳に響いた。
「あっ、もしもし。さっき電話くれた?」
「あー、したけど、話し中だったからさあ」
「ごめん。今片山君から電話があって・・・」
「なに良太からか?」
「そう」
「あいつわざわざ電話してきたのか?」
「うん」
「へーえ」
直人はどういうわけか不満そうな返事を返した。
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