シーソーが揺れてる
「あー、おまえとはまだカラオケ行ってなかったなあ。おれが歌える曲はなあ、演歌とか昔の曲とかだぞ」
「昔の曲・・・?少年隊とか近藤雅彦とかですか?」
「まあそれもなんとなーく知ってるけど、そんなのはまだ最近だ。おまえ「22歳の別れ」って歌分かるか?」
「分かりません」
「だろうな。で、おまえはどんな歌歌うんだよ」
「僕ですかー?」
良太はほんの少し考えてからこう答えた。
「アニソンとか、ビーズとか・・・」
「ビーズってあれか?おれの姉貴がよくやってる、通してブレスレットとか作る」
「そう言うと思いましたよ」
少し呆れ気味に良太は言った。
「まあそれはいいとして、おまえらがそういう歌歌ってる最中におれがそんな歌歌ってみろ。せっかくの楽しい空気が盛り下がるじゃないか」
「盛り下がるだなんてとんでもない。むしろその年で演歌歌えるのかって逆に注目されると思いますよ」
「馬鹿やろう、そう思うのはおまえだけだろう」
直人は思わず手に持っていたカップをテーブルに叩きつけそうになった。
< 141 / 284 >

この作品をシェア

pagetop