シーソーが揺れてる
「あーっ、そうだ」
直人の気分をどうにか落ち着かそうと、良太は苦し紛れにこんな提案をしてみた。
「西山さんが居るじゃないですか。先輩、西山さんを誘ったらどうですか?」
「あいつとカラオケ行くのかー?」
「いやカラオケじゃなくても・・・」
「音大行ってたようなやつの前で歌えって言うのか?」
「あー、それ聞くと僕も西山さんの前ではカラオケ歌えませんね」
「だろう?」
「じゃあ買い物はどうですか?」
「西山とかー?」
「もちろん」
「だから冗談は顔だけにしろ!」
直人は良太を睨みつけた。しかし良太は怯むこと無く言った。
「すみません、半分冗談です」



夕方。仕事が終わり良太は店を出ると携帯を開いた。
電話帳の名前をたどって「西山春香」と書かれたところで手を止めた。そしてすぐにメール作成画面に切り替えるとこんなメールを打った。
「こんばんは。
唐突なおねがいなのですが、杉浦先輩と会ってもらえませんか?
もちろん無理にとは言いません。ただ先輩、何か悩んでいるようなんですよ」
< 142 / 284 >

この作品をシェア

pagetop