シーソーが揺れてる
「それで、どこで遊ぶんですか?」
「まだ決まってない。それを決めてる途中で急に・・・」
「あー、そうだったんですかー」
良太の胸を、触れてはいけないようなことに触れてしまった時のような気まずい気持ちが包んだ。
「まっ、金も無いしいつもの公園でいいんじゃないの?」
「お弁当持ってですか?」
「あー、西山の手作り弁当をな」
直人は目を輝かせた。
「西山さんの、手作り弁当ですか?」
思わず良太は頬を緩ませた。
「おー、そうだ。羨ましいだろう」
良太は何と返したらいいか分からずにいた。直人の台詞に嘘は無いのだが、そこで「はい」と頷いてしまうとよけい冷やかされてしまう・・・。
「おまえも金曜日一緒に来るか?」
直人の問いに、良太ははっと我に返った。
「いえ、金曜日は学校があるので」
そう答える自分の声がどことなく不機嫌そうに聞こえたことに、良太は驚きを覚えた。
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