シーソーが揺れてる
「あーそうだったなあ」
「それに・・・」
と、ここで良太はのどまで出掛かっている言葉をぐっと飲み込んだ。
「それに、何だよ」
「いや、何でも無いです」
「何だよそれ、気になるじゃないかー」
「いやいいんです。気にしないでください」
そう言って良太は逃げるように直人の側から小走りに立ち去った。
「西山さんは僕なんかよりも先輩と居たほうがきっといいんだ。それは先輩だって同じはず・・・」
早足でロッカールームに向かう良太は、今さっき飲み込んだ言葉を心の中で何度も呟いていた。まるで自分に言い聞かせるように・・・。

一方の直人はそのころ、プライベートでは珍しく携帯のメール作成画面を開いていた。送り先はもうあの人しか居ないだろう。
「金曜日のことだけど、お金も無いからいつもの公園でいいら?」
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