シーソーが揺れてる
「食べないのか?」
突然自分の膝に置かれた物体を直人は不思議そうな目で見つめた。
「うん。クリームパンだけでお腹いっぱいになっちゃって」
「ふーん」
直人は袋に入ったアップルパイを手に取ると、改めてしげしげとそれを見た。早速食べるのかと思いきや!
「じゃあこれ良太のおみやげにするよ」
「えっ?」
予想外の直人の言葉を聞いた春香は、思わずアップルパイとそれを包み込む直人の手を交互に見つめた。
「あいつも今日ここに来たがってたからさ」
「そうだったんだ・・・」
「それ西山の手作りってことで明日渡しとくよ」
「そんな嘘つかなくていいわよ」
春香の胸が一瞬ぽっと暑くなった、ような気がしたが、強く吹いてくる風によりそれはすぐ冷やされた。
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