シーソーが揺れてる
「えーそれは違うぞ。先生に見つかったのはゲームセンターに入ったやつらだぞ。おれたちじゃない」
「あんたたちだって夜に騒いでうるさいって近隣住民から苦情がきたって言う事件の犯人でしょうが」
言いながら春香は直人の耳たぶを軽く引っ張った。
「昔のことは忘れたよー」
「よく言うわよ」まるでさすらいの旅人のように言う直人を、クリームパンを食べ終えた春香は睨みつけた。だがすぐに睨みつけた目を直人から離すと、思い出したようにパン屋さんのビニール袋にその目を移した。
「ねえこれ」
そう言って、春香はビニール袋からさらにもう一つアップルパイの入った小袋を取り出すと、直人の膝の上に置いた。
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