シーソーが揺れてる
表示されている時間を見たとたん春香はどきっとした。
広美は今日松村くんと会う約束をしていたのだ。今はもう夜である。
もしかして広美今・・・!そう考えた春香の体がじっとりと汗ばむのと同時に胸がちくちく痛み出した。
「じゃあ手短に話す。明日の夕方ぐらいにまたそっちに戻るから」
「うん分かった」
「あと大会終わってから部屋を出ることにしたよ」
「えー?そっ、そう、なんだ「
広美の声が寂しげに沈んだ。しかし、
「でも何で大会が終わってからなの?」
声の調子を戻すと、少し怪訝そうに広美は問う。
「だって練習とか会場に行くのに広美の部屋からの方が近いんだもん」
春香はあっさり答えた。
「まあそれもそうね」
電話を切ると、春香は携帯でインターネットを開いた。ピアノを買い取ってくれるところを探すためだ。
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