シーソーが揺れてる
「広美、明日暇?」
再びページをめくりながら春香はまた広美に尋ねた。
「暇じゃないよー」
「えー?明日も学校あんの?」
「学校は休みだけど、合唱サークルの集まりがあって」
フライパンに油を敷きながら広美は答えた。
「そっかー。そういえば市内の合唱団に入ったんだったね」
「うん。そうだ、春ちゃんもどう?」
「えー?」
「明日一緒に行こうよ。まだメンバー募集してたみたいだし。それに歌えば春ちゃん元気になるんじゃない?」
「うーん、・・・」
漫画本から目を離すと春香は考え込んだ。
「まあ広美も一緒だしだいじょうぶそうかも。どうせ暇だし。うん、行く」
「よし、そうと決まったら」
タマネギを炒める広美は春香の返事に嬉しそうな笑みを浮かべた。春香は引き続き漫画を読み始めた。

春香が公園の直人のことを思い出したのは、合唱サークルの帰りのバスの中だった。
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