シーソーが揺れてる
「鮭茶漬けと梅茶漬けがあるけどどっちがいい?」
「梅でいい」
言いながら春香は公園からの帰りに立ち寄った書店で買った漫画本のビニールを開けていた。春香は本屋さんが好きで、店に入ると1時間は平気であれこれと本を見てしまうのだ。
今日も暇だったのが手伝って3時間半も店にいた。いろいろ物色した結果、だれかがブログで勧めていたのを思い出したギャグ漫画を2冊購入した。
漫画を読む春香の向こうでは、広美がキッチンで野菜を切っていた。
「何作ってんの?」
ページをめくりながら春香はキッチンを見た。
「ビーフシチューだよ」
軽やかな声で広美は言った。
「へえ」
春香はまた漫画に目を走らせた。
「こんなんでいいのかなあ?」ギャグ漫画で思いっきり笑いたかったはずの春香の脳裏にふとそんな疑問が浮かんだ。
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