シーソーが揺れてる
「そんな苦い物よく毎日飲めるよねえ」
「悪い?」
空き缶をベンチに置いた直人はぼそっと呟くように言った。
「いや、べつに」
春香は冷めた返事を返すと再び本に目を走らせた。
と、右ポケットで携帯がメールを知らせる着信音をならした。
春香は左手の手首で本を押さえながら右ポケットから携帯を取り出して開いた。
新着メールのアドレスを見た春香は本文を読まずに携帯をぱたんと閉じた。どうでもいいような情報メールだったからだ。
ポケットに携帯をしまいながら春香はため息をこぼした。
< 3 / 284 >

この作品をシェア

pagetop