シーソーが揺れてる
「ほんとに?」
まだ何となく青白く見えるような春香の頬を見て広美は不安げに聞いた。
「うんたぶん」
「この後行けそう?」
この後6時半から市内の合唱サークルの練習があるのだ。やく1ヶ月後に迫った合唱祭に向けてだんだん練習にも熱が入ってきて、週に1回だった集まりも今週から2回になった。
「うんそれには行く。ただでさえソプラノは人数少ないんだから私行かないと・・・」
「だけどあまり無理しないほうが・・・」
「いや、だいじょうぶ」
春香はきっぱりと言うとベッドから降りてユニットバスに向かった。
「まっ、歌えば元気になるだろうからいいのかも。それに歌ってる時の春ちゃん、なんか楽しそうに見えるし。あっ、そうだ!春ちゃーん!」
ばたばたと走りながら広美はユニットバスでシャワーを浴びている春香に叫んだ。
「なにー」
その声に春香はシャワーを弱めると声のした方に顔を向けた。
「出てきたらでいいから教えてほしいところがあるのー」
「なにまた合唱譜のこと?」
「そう」
「着替えたら行くからちょっと待ってて」
春香は急いで洗顔をすませ新しい服を着込むと広美が座るテーブルに走った。
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