シーソーが揺れてる

「さあ、午後からも仕事仕事」
子供たちの笑い声が響き渡る公園で直人は延びをしながら言った。
「お疲れ様」
「そっちはどうせこの後も暇なんだろ?」
飲み終えた缶コーヒーの缶を作業服のポケットに放り込むと、直人は春香の方を見ずに言った。
「残念ながら今日は暇じゃないの」
「え?」
「今日はこの後図書館に行くの」
春香は得意げに答えた。
「そういうのを暇って言うんじゃないのか?」
それに対して直人は冷たい返事を返した。
「すみませんね何もしてなくて」
「そんな怒るなって。そういやあおれ明日休みなんだよ」
「あら土曜日休みなんて珍しいじゃない」
「うん。おれけっこう働いてる方だからたまにはゆっくり休めってさ」
「へーえ。でっ何か予定あるの?」
「まだ考えてない」
「そう」
「なんならデートする?」
直人は照れ笑いなのかちゃかした笑いなのかよく分からないような笑いを浮かべた。
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