シーソーが揺れてる
パン屋さんを出ると、すぐ近くの公園のベンチに腰掛けて買ってきたパンの中からメロンパンを取り出してかじった。
ここしばらくの間春香は鬱の症状だと思われる吐き気に悩まされているため食欲が沸かずにいる。なのでメロンパンを1こ食べるだけでせいいっぱいだった。
それをどうにか食べ終え、持ってきていたペットボトルのお茶を飲み干すと、春香はベンチに腰を下ろしたままぼーっとしていた。
と、遠くの方から足音がした。それはどんどん春香の方に近づいてくる。
初夏の生ぬるい風が吹く公園には春香と足音の主以外だれも居ない。
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