シーソーが揺れてる

「もしもし」
図書館からの帰りのバスの中で突然携帯がなった。春香は急いで電話に出た。
「あっ、西山さんですか?」
「あー、はい」
受話器の向こうの声は良太だった。
その声に、春香の胸はどきんと大きな音をたてた。
「今電話よかったですか?」
そうとも知らず良太は少し遠慮気味に春香に尋ねた。
「うん、だいじょうぶだけど・・・」
「今どこに居ます?」
「図書館から帰るバスの中」
「一人?」
「うん、一人だよ」
今さっき大きな音をたてた春香の胸が、ざわざわと騒ぎ始めた。なんだかものすごく不安になってきた。
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