逃げる女

惑う気持ち

話し終えた店内は、耳を澄ませば外で降り続く雪の音が聞こえてくるんじゃないかという位の静寂に包まれていた。



私はココアに手を伸ばすが、カップは既に熱を持たず、すっかり冷め切ってて飲むのを躊躇う。




『…それで?その後はどうなったんだ?』



「何もありません。」



『次の日…会ったんだろう?』



私は首を横に振った。



「行かなかったから…学校。」



『卒業式にでなかったって事か?』



「そうです…。」



そう…次の日の卒業式を私はサボった。
その日の夕方に担任が卒業証書と、卒業アルバム、学校に置きっぱなしだった少量の私物を届けに来て、私の学校生活は終わりを告げた。



「次の日学校でまた笑い者にされるかもしれないと思うと、行けませんでした。…それに…森田君に会うのが怖かったんです。」


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