逃げる女
杉田さんにはひどい事してると思ってる。…けど、今までの様に断れない。

断りたくない。


『…待つよ。』



私の気持ちを読んでるのかと思うくらいタイミングよくそう言ってくれた杉田さん。



『俺は、どんな嘉島でも好きだ。お前が、過去を忘れて前に進めるまで、ずっと待ってる。』



「でもいつになるか…『それでもいい。だから…逃げるな。』


逃げる?



『俺に申し訳ないとか考えて断ったりしないで欲しい。それは、楽な方に逃げてるだけだと思うから。俺の事男として見れないっていうなら、そう言ってくれれば諦める。けれど迷ってる内は、急いで結論出そうとせずに考えて欲しい。俺の気持ちから…自分の気持ちから逃げるな。』








どうしてこの人はこんなにも優しいのだろう。


待たされてる身は決していい気分な訳無いのに。



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