逃げる女
『それって、昨日のあの男の事?』



「うん。ずっと待たせてたから…。」



『そっか…あの約束はじゃあ無しだな。』


「約束?…スキー?」



『うん。教えるなんて言ったけど、彼氏に怒られるもんな。』



「ま、まだ彼氏じゃないよ。」



『前に進むってそういう意味だろ?』



「〜!!」



『残念。もっと早くにあの店に行って嘉島を見つけたかった。』



「え?」




少しだけ、苦笑して私を見つめる森田君。



『俺も、前に進むよ。…本当は嘉島と一緒に進めたら良かったんだけどっ。』




「それって…えぇ!?」




『ははっ。すげー真っ赤。』




「か、からかったのね!」



自惚れの強い女みたいで恥ずかしい。




『ホント…残念…。
幸せになれよ…
って、俺が言うことでもないかっ!』



「ううん。嬉しいよ。ありがとう。」



それから少しだけ、話をして、森田君とさよならをした。



きっともう会うことはないね。
会って話せて良かった。


森田君、本当にありがとう。


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