逃げる女

新しい自分

森田君と別れて向かった先は、バイト先だった。



「おはようございます。」



『朋美？お前休めって言ったはずだぞ？』


驚く店長にバイト仲間。
そして杉田さん。



「もう、平気ですから！それに昨日はほとんど働いてないし…今日はタダ働きでも構いませんから、働かせてください。体、動かしたい気分なんです。」



過去を吹っ切って、心だけじゃなく、体まで軽くなったような気分だ。


店長も私の小さな変化に気付いたのか、背中を強く叩かれる。


『早く着替えて来い！夜の部はもう始まるぞ！』



「はい！」




更衣室へ向かう私を見つめる杉田さん。私は杉田さんに近寄った。


「今日も送ってくれますか？話があるんです。」



私の顔をじっと見つめて、ふっ と笑う。



『任せとけ。』



私の心の変化にきっと気付いたはずだ。


だって、いつも考えてる事を言い当てられるんだから。




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