逃げる女
家に帰ってぼーっとしてた所へ言葉通り迎えにやって来た泉美。


『迎えに行くって言ったのに何で部屋着なわけ?』


「行かないって言ったはずだけど?」


『それは無理。今から他の人探す時間なんてないの!お願いだから来てよ。』


「い・や!!」


プイっと横を向いて知らない振りをしてると、啜り泣く声が聞こえてくる。


「何よ。泣かなくても…」

『だって!今日は上坂君来るんだよ。私…それ聞いて無理言って参加させてもらったのに…』



上坂君とは今泉美が気になってる人だ。



「だったら泉美だけ行けばいいじゃないの。」



『ダメなの!他の女の子達とあまり仲良くないし…上坂君狙ってる子いたらみんなその子に協力しようとするでしょ?美里に私の協力お願いしたいのっ!』


つまりは、失恋の痛手は新しい出会いっていうのは単なる建前で?結局は泉美の協力をするために私を誘ったと?



目の前でシクシク泣く泉美。



「はぁ…わかったよ…着替えるから。化粧直しでもして待ってて。」


『ほんとっ?』



「協力出来るかは保障しないからね。いい?」



そう言って、支度を始めた
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