逃げる女
けれど、武志は充の連れで私とは充がいたから知り合った訳だし、充あっての私達だと思ってた。


…最初は充の友達としか認識していなかった。



『気付いた?』



「確かに、2人で会うようになったのは付き合ってからだね。」



そう答えた私に聞こえてきたのは大きなため息。



『違うよ。自分の気持ちに気付いたか聞いてんの。』


「私の…気持ち?」



『はぁ…じゃあ聞き方変えるけど、何で俺と付き合おうと思った?』



「それは…充が…武志はいい奴だって…」


『充が反対してたら、どうしてた?』




充が反対してたら?



…多分付き合おうとしなかった。友達でいようって言ってたと思う。



『俺と付き合っても、充とは2人でカラオケ行ったり飯食いに行ったりしてたよな?…もうわかるだろ?』



「じゃあ…別れた原因って…充のせい?」



『充のせいじゃなくてお前の気持ちだよ!』



私の…気持ち?



『充の事が好きなんだろ?…俺よりも充が好きだったんじゃないのか?』




「―っ!!」




何も言えなくなった。
携帯を耳に当てたまま、立ち止まってしまう。
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