逃げる女
『それは『大志っ!早くしてよ。いつまで待たせるの?』


あっという間に近くへ来て大志君の腕を引っ張る女の子。


『ちょっと待って。今話してる最中だから。』


腕を引き離しなだめるように話す大志君。


なんかやだ。こんな所見たくないんだけど。


「大志君さっきの話だけど、もう謝らないで?気にしてないから。それじゃ。」

ぶっきらぼうに言い投げて私はその場から逃げ出すように離れた。



後ろで私を呼び止める大志君の声と、大志君に何があったのか問い掛ける女の子の声が聞こえてた。



もう、いいよ。


あのキスには何の意味も無かった。



謝られるような行為だったんだ。
キスして後悔するのもされるのもこんなに嫌なものだったなんて知らなかったよ…


.
< 37 / 197 >

この作品をシェア

pagetop