先生へ -君に詠む愛の歌-
*****佳央視点*****

「伊波先生・・・。」



かける言葉が見つからない。



二人の間に沈黙が流れる。


「だから田元さん。
 僕は藤里さんの為には
 先生である以上、
 規則を破って
 これを見せることが
 できないんだ。」



そう言ってリストを持ち直した。


・・・ん?


あ!!

そういうことか・・・!!



「伊波先生!」


「なんですか?」


伊波先生はいつもの優しい

微笑みで私を見た。


「もう一度!
 もう一度最初の質問
 お願いします!!」


私は思わず立ち上がって

先生にお願いした。


「田元さん。
 このリストを見せることは
 誰のためになる?」


「壬生先生の大切な
 柚那のためになります!
 そして結果的に
 壬生先生のためにもなります!」


「そう。
 それじゃあ仕方ないかな。
 僕は壬生先生には恩がある。」


そう言って優しい微笑みのまま

私にリストを手渡してくれた。


「ありがとうございます!」

先生に頭を下げた。


「持ち出し禁止だから
 ここで見るようにね。」


そう言って伊波先生は

自分の机に戻っていった。


*****佳央視点終了*****
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