電子警察官AKI ~3日間の命~

○命令

「なんだよ~夜中に叩き起こしやがってよぉ~」

「小林、マズイことになった」


眠っていた小林を電話で呼び起こし、実験室に呼んだ。

よれよれのネクタイとシワだらけの白衣、眠そうな顔の無精髭で更にだらしなく見える。


「強力なハッカーが現れた。情報が漏れている」

「あぁ?どういうこっちゃ、そりゃあ…」



小林はキーボードを打ち、ハッキングの痕跡を確認した。

その表情は、みるみる内に驚きから苦虫を噛み潰したような顔になる。



「…あんたの電子警察官はなぁにやってんだよ」


『引き続き待機しています』


「あ、あぁ…聞いてたのか…」


「どうだ?お前はウィルス専門だろう、何かわからないのか?」


「突然そんなこと言われてもよぉ~…こいつぁ、とんでもねぇハッカーだぞ~。フィルターの向こう側がメチャメチャだぁ~」


『小林博士、質問があります』


「ん?おお、なんだどうしたぁ?」


『そのフィルターの解除は可能ですか?』


「あ~…どうだろぉなぁ~…」



AKIの質問に口を濁す小林。

難しい表情で無精髭を擦りながら、画面を睨んでいる。



「フィルターだけなら…何とか出来そうだなぁ~…」


『でしたら、解除をお願い出来ますか?』


小林はしばし悩むと、AKIに顔を向けて頷いた。



「俺に任せときなぁ~。だから、ちょっと時間をくれよぉ~?」
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