永遠の約束(深青編-序章-)
「でも、あまりにもゆっくりしていると入学式早々遅刻するわよ」
「え?」
ハッと深青は時計を見る。
時計の針はすでに7時半を指そうとしていた。
まだ、食事に手をつけていなかった深青は急いで食べる。
今までなら別に急ぐ必要もないが、今日は入学式。
そして、初めての登校に電車通学だ。
入学式とだけあって始まるのも遅いのだが、これが、明日からはこの時間にはもう出ていないといけないというのは無遅刻の深青にとってもつらい。
「って、お母さんも行くんじゃなかったの?」
入学式は保護者同伴だったはずなのだ。
だが、見るからに母は急ぐ様子もない。
さすがに、服は着ているみたいだが………。
「うふふ。お母さんは優奈ちゃんのお母さんと車で一緒に行く約束してるから、まだ、余裕があるの」
「え? でも、優奈は私と電車だよ」
「そうよ。明日から早々に電車通学も大変でしょ。今日は練習として2人は電車で行ったらいいと思ってお母さんたちだけで車で行こうって約束したのよ」
別に、自分たちも車でもいいのにと思っていてもこののんきな母に言ったところで軽くかわされるだけだと深青はあえて口に出さなかった。
「じゃあ、いってきます。後で学校でね」
「お母さんたちは校門のところで待ってるからね」
待ち合わせ場所だけを決め、深青は家を出て駅へと向った。